11月13日からNetflixで配信中の『イクサガミ』は、日本など11カ国のNetflix週間TOP10(シリーズ)で首位、Netflix週間グローバルTOP10(非英語シリーズ)で2位を獲得するなど、世界的なヒットシリーズとなっている。
本記事では、そんな『イクサガミ』を、物語の魅力や、主演とアクションプランナーも務めている岡田准一のアクション描写の迫力、出演陣の観点から解説していく。
Netflix『イクサガミ』の作品概要
本作を一言で表すなら、サムライ版『バトルロワイアル』だ。明治時代、腕自慢の人間たち292人が集められ、莫大な報奨金を掛けて、東海道を木札を奪い合いながら東京を目指す。家族を守るために大金を必要としている剣士の嵯峨愁二郎は、12歳の少女と共に、過酷な殺し合いに身を投じることになる。
原作は直木賞作家・今村将吾氏のベストセラー小説。「天・地・人・神」の4部作からなる長編時代小説だが、アクション描写と起伏に富んだストーリー展開によるエンターテインメント性の高さから、若い層を含めた幅広い支持を集めた作品だ。
漫画化などもされているが、今回、Netflixのシリーズとして待望の映像化作品として制作されたのが本作である。
滅びゆくサムライたちの物語
物語の舞台となるのは、1878年(明治11年)。廃刀令が敷かれ、長きにわたる武士の時代が名実ともに終焉を迎えた激動の時代。
時代に取り残され、滅びゆく運命にあるサムライたちが挑むのは、剣技と誇りを試される、非情な命懸けの遊戯。京都から最終目的地である東京まで、「木札」を奪い合いながら、最後のひとりになるまで戦い続け、生き残った者にのみ自由と富が約束されるというルール無用のバトルロワイヤルに身を投じていく。
主演の岡田准一が演じるのは、かつて「人斬り刻舟」と恐れられた凄腕の剣客・嵯峨愁二郎。彼は、過去の業を背負いながらも家族と共に慎ましく暮らしていたのだが、妻と幼子が流行り病にかかり余命いくばくもない状態となってしまう。治すには法外な値段の特効薬を手に入れるしかない。嵯峨は愛する家族を救う最後の望みとして、非情な戦いへの参加を決意する。
嵯峨愁二郎は、剣技の達人でありながら、家族への深い愛情と、人を斬ることへの苦悩を抱える二面性を持つキャラクターだ。葛藤を抱えるのは嵯峨だけではない。他の参加者たちにも、このゲームに参加した個々の背景や矜持が存在する。それぞれが単なる「悪役」としてではなく、時代の波に飲まれた人間として描かれており、その戦いは息を呑む緊迫したものになっている。
筆者も本作の物語に惹かれて鑑賞したが、参加者たちは時に同盟を組み、裏切り、戦うことになる。デスゲームならではの心理戦も見どころの一つだった。さらには、この遊戯を仕掛けた黒幕の思惑も絡みあい、一気見したくなる物語となっていた。
こうした物語の惹きの強さと、展開の面白さは本作の大きな魅力となっているのだ。
岡田准一が生み出した圧倒的な熱量のアクション
本作の監督は、社会派ドラマからアート性の高い作品まで幅広く手がける藤井道人(『新聞記者』『正体』など)。明治維新後の混沌とした時代の闇と、サムライたちの生きざまというシリアスなテーマに、息をのむようなスピード感と映像美を生み出している。
本作では主演の岡田准一が、アクションプランナー兼プロデューサーとしても参加。岡田は『ザ・ファブル』や『ヘルドックス』でも俳優と同様のポジションを兼務しているが、スピード感とリアリティを併せ持つ迫力あるアクションシーンは高い評価を獲得している。
本作で藤井監督と岡田が目指したのは、「生身の肉体による限界を超えた画作り」。岡田が培ってきたアクションの演出を十二分に表現できるよう、役者のトレーニングから衣装や武器に至るまで徹底的にこだわり抜いている。これにより、日本の時代劇でも異例なほどのリアルかつダイナミックな剣戟シーンが実現したという。
破格のスケールで描かれる天龍寺の乱戦は、総勢1,000名のキャスト・スタッフにより、ワンシーンに数日間かけるといった大規模な撮影が行われ、本作の大きな見どころとなっている。
筆者もこのシーンの迫力には圧倒された。物語の序盤で描かれるので、本作に興味を持たれた方は本シーンまでは鑑賞することをお勧めしたい。
『イクサガミ』を支える豪華なキャスト陣
本作では主演の岡田准一をはじめ、東出昌大、染谷将太、早乙女太一、遠藤雄弥、山田孝之、一ノ瀬ワタル、吉岡里帆、二宮和也、玉木宏、伊藤英明など、上記の画像の通り、日本映画界を代表する豪華キャスト陣が集結。ライバルとなる剣客や新政府の思惑を担う人物など各所に演技力ある俳優が配されており、物語に深みと緊張感をもたらせている。
柘植響陣を演じた東出は、寡黙かつ圧倒的な強さを持つただならぬ雰囲気の剣客を好演。菊臣右京を演じた玉木宏は、ゲームを仕掛ける側のキャラクターの冷静沈着な佇まいと謎めいた雰囲気を醸し出すことに成功しており、筆者も柘植に
女優陣も、衣笠彩八を演じた清原果耶は透明感がありつつも芯の強さを感じさせるキャラクターを、 主人公と行動を共にする香月双葉を演じた藤﨑ゆみあは、血で血を洗う戦いのなかで一筋の光となるような存在感を発揮。
彼らが織りなす人間ドラマは、「キングダム」や「るろうに剣心」に匹敵する、世界に通用するエンターテインメントとして評価される背景にもなっているのだ。
まとめ
Netflixで世界的ヒットを記録した『イクサガミ』は、単なる時代劇の枠を超えた作品になっており、純粋にエンターテインメントを楽しみたい人におすすめの作品だ。
サムライ版「バトルロワイアル」という設定に惹かれるデスゲームやサバイバル作品のファン。また、廃刀令後の時代に取り残されたサムライたちの、誇りや家族愛、生き様を描く重厚な人間ドラマを求める方にも響くはず。
特にアクション映画を好む方には本作を強くおすすめしたい。「生身の肉体による限界を超えた画作り」を徹底追求した、ダイナミックかつリアルな剣戟シーンは圧巻なので、必ずや楽しめることだろう。
社内での成績や競合会社とのシェア争い、受験勉強など、現代社会も争いの側面を内在しているが、その争いは、AIの台頭や不安定な世界情勢など、これまでの戦いが通用しないサバイバルな様相を呈している。
そんな現代において、過酷かつ未知のデスゲームに挑むことになるサムライたちの姿は時代と重なる部分があり、多くの人々の胸に迫るものとなった。そうしたこともヒットの要因だったと言えるのではないかと筆者は考えている。
ファーストシーズンで描かれているのは、原作の「天・地・人・神」の、天と地の途中まで。そのため、第2シーズン以降も大いに期待されるシリーズとなっている。
物語の先が気になって仕方がない方には原作小説をお勧めしたい。リアアリティを追求するためドラマシリーズでは廃した必殺技を使用した戦いなど、ケレン味溢れるバトルも楽しめるなど、本シリーズとはまた違った楽しみ方が出来るので、ぜひ手に取ってみていただきたい。
作品情報
- 監督:藤井道人
- プロデューサー・アクションプランナー:岡田准一
- 企画・製作:Netflix
- エピソード数:6エピソード
- 著者:今村翔吾
- 出版社:講談社


