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『万事快調(オール・グリーンズ)』田舎出身者に刺さる、綺麗事だけじゃない青春

映画『万事快調 オール・グリーンズ』レビュー

「青春映画」と聞いて、多くの人が思い浮かべるのは、仲間と夢を追い、努力が報われ、最後は前向きな余韻で終わる物語かもしれません。
しかし、地方で育った人にとっての青春は、そこまで単純ではありません。

『万事快調 オール・グリーンズ』は、田舎という環境で過ごす若者たちの現実を、過度に美化することなく描いた作品です。
夢はあるが、選択肢が限られている。頑張りたい気持ちはあるが、環境がそれを簡単には許さない。そんな感覚を、泥臭く、爽やかに突きつけてきます。


夢を持つこと自体が、少し重たい場所

作中に登場する若者たちは、決して怠けているわけではありません。
ただ、地方特有の閉じた環境の中で、「この先どうするか」という問いに常にさらされています。

進学、就職、地元に残るか外に出るか。
選択肢は少なく、そのどれを選んでも、誰かとの距離が変わってしまう。
地方出身者であれば、一度は感じたことのある息苦しさが、丁寧に描かれています。


友情は、ずっと続くとは限らない

この映画が印象的なのは、友情を理想化しすぎない点です。
同じ時間を過ごし、同じ景色を見て育ったとしても、進む方向は少しずつズレていく。
応援したい気持ちと、置いていかれる不安が同時に存在する関係性は、非常に現実的です。

特に田舎では、人との距離が近い分、関係が変わることへの痛みも大きい。
その微妙な感情の揺れを、この作品は逃げずに描いています。


成功物語ではなく、「選択の結果」を描く映画

『万事快調 オール・グリーンズ』は、分かりやすい成功体験を提示しません。
描かれるのは、選んだあとに残る感情や、うまくいかなかった現実です。

それでも時間は進み、日常は続いていく。
正解かどうか分からない選択を抱えたまま生きていく姿に、地方出身者ほど強い共感を覚えるはずです。


田舎を美化しないからこそ、信頼できる

自然が豊かで、人が温かい。
そんな側面がある一方で、閉鎖的な空気や逃げ場の少なさも、田舎の現実です。

本作は、その息苦しさを抱える高校生が、どう現実に対峙していくかを描く作品です。
「家庭も学校生活も糞食らえ。でも、全部の時間が嫌いだったわけじゃない」
そんな、故郷に対する複雑な感情を思い出させてくれる作品です。


こんな人におすすめ

  • 田舎出身で、進学や就職を機に地元を離れた人
  • 青春映画の「キラキラ感」に違和感を覚えてきた人
  • 地方と都会、どちらにも完全には馴染めない感覚を持つ人

派手な展開はありませんが、観終わったあとに、自分の過去を少し肯定できる一本です。


まとめ:万事快調じゃなくても、前には進める

『万事快調 オール・グリーンズ』は、「すべてがうまくいく青春」を描く映画ではありません。
それでも、選んだ道を歩き続ける人間の姿を、誠実に映し出しています。

万事快調じゃなくてもいい。
オール・グリーンじゃなくても、人生は続いていく。
田舎で育った人ほど、その言葉の重みを感じるはずです。

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